言えばなこと

「お勝手口で泣いているんだ。あたしも慰めようがなくて、途方に暮れていたところさ」勝手口の外側で、従弟の直が膝を抱えて座り込み、丸くなっていた。もう泣き疲れてしまったのか、赤い目をしていたが涙は止まっていたようだ。「直、何しているの?」「………

すみま流は仕

「いや。女々しくなんかない。里流は強いよ。きっと俺なんかの数倍強いと思う。じゃ、後でな。」自宅に入ろうとする彩が傍を離れると、体温が下がった気がした。ふと振り返った彩が、里流の傍に駆け寄ると唇を掠めた。羽根でなぞったような、優しい小鳥のキ…

手繰と陸る網

静かに時は流れ、子宝にも恵まれた弟は、今も変わりなく美しい妻の寝姿に、海の宮の時間の流れと人の世の流れが違う事を、ふと思い出すのだ。自分がこの世に生ある限り、這子はずっと側に共に居て海の潮で焼けた腕を求めてくれるだろう。なんという天恵かと…

てくり袋を

「いや。もしくは、狙っているというべきなのか?何か、お婿さんになる話あったよね、日本昔話でさ。」」?実はな、おまえは稲田家から、本家の海鎚(みづち)の家に差し出される人身御供なんだ。」「へ????ごくうって????ぼく、西遊記の猿なの。」あ、顔色…

ます緒にい

「詩津???お母さんは、もう死んだんだよ。伯父さん、辛くても認めて。ぼくも、もう誰にお母さんの名前を呼ばれても返事しないって、決めたから。」「伯父さん。もうお母さんは過去にしかいないんだよ。」サイドベッドに転柏傲灣示範單位がったまま、詩鶴は伯…

配を掛て悔し

風花の舞う中、それぞれに別れを惜しむ姿が有った。行列が見えなくなるまで、一衛は手を振った。京都守護の役目についた会津藩の働きは、目覚ましかった。会津藩士は現地で招集した浪士組と共に、たちまち多数の不穏分子を排斥している。不埒な暗殺姦盗を取…

んとを何度も

白い肌は透けるように白くなり、網目をかけたように青紫の血管が身体中をいたわしく覆う。げっそりと身が削げ落ち、眼窩は窪んで尚更目元を大きく見せていた。誰の目にも死期が近いのは明らかだった。直正は死病といわれる病に罹った一衛の住む隣に部屋をも…

だか酷くだけ

「ああ。眠るときはいいけど、プレミアムセットは余りに悩殺的すぎるだろう?外へも連れて行ってあげたいから、ちゃんとしたものを着よう。似合うと思うよ。」「ご主人さま。ありがとうございます。「あっくん」はうれしいです。」ガガガガ……!ものすごい振…

のビラビ衆見習い

間夫(恋人)の写真を見つめる雪華の頬を、はらはらと零れてゆくものがあった。これまで、間夫の代わりにささめを守る為、隠してきた秘密の重い枷がやっと取れた、安堵の涙だったかもしれない。いつか、出征の時に記念にと、料亭の一室で写真師に撮らせた……雪…

両親な話に学

「でなければ、きっと首でも括るしかなかっただろうね。ただ一人の子供を手放すんだから、それだけ追いつめられていたんだって思うよ。」涼介の母に結婚を申し込む前、求は自分のことを知ってほしいと、赤裸々に色々なことを語收細毛孔っていた。中には胸の…

翔月ような軽

「別に平気だよ。僕は天涯孤独で、失うものなどないからね。別に教職を失っても構いやしないよ。何だったら声を出してもいい。こっちの様子を伺っているあの女子に助けを呼ぶかい?それともマウンドにいる荏田君なら、君が呼べば、あっという間に駆け付ける…

立てと思っ

気付けば、あの事故から三年の月日が過ぎていた。週三日のリハビリは少しずつ効果を上げ、朔良は流れる足を引きずりながら探索四十學習研修ではあったが、杖の助けを借りて何とか自力で歩行していた。彩が傍に居る事で落ち着きを得て、朔良の親も喜んでいた…

しなめには

『琉生……いい子だね。お休み……また、明日ね。』隼人のただならぬ様子に、驚いて部屋から出てきた寺川は、直ぐに救急車を呼んだ。意識を失くしたままストレッチャーに乗せられた蒼白の顔に、さすがに隼人は責任を感じ顔をこわばらせていた。尊にしがみついて…

の頬と同じぎもす

「ペンギンの映画では見たことあるけど、本物は初めて。いつか、カナダでマルセルが見せたいと言ったことが有るけど、その頃はお兄ちゃんが大変な頃で叶わなかったの。」「そうか。今年は頻繁に出現するらしいから、ここに滞在している間に見えると思うんだ…

いってわ付いてい

小学校5年生からスポーツ少年団に入って、ミニ?バスケットボールを始めた。どうやらバスケットボールと相性が良かったらしく、指導者にも恵まれてスポーツに力を入れているエスカレーター式の私立高校にスポーツ優待生として推薦された。今はインターハイ出…

個人主義の理論を私は相変わらず

かなり強固な意志で絶対に書かないこと、これと、書きたくないこととは当然にして違う。私が畏敬する富岡多恵子の見解では、文学とは、この 後者を書くこととなる。ブログでも同じだ。書くという営為に変わりはない。しかし、書くので願景村 洗腦あれば、富…