ものではにいる

 

「録画もしたしね。さあちゃんはきっと、少しは覚えていると思うな。大二郎くんと一緒に二人で写した写真、いつも持ってて大切にしているもの。さあちゃんは、内緒にしているみたいだけどね。」

ふふっと笑って、湊は打ち明けた。

「あら……そうなの?だってあの子、何も言わないから、大二郎くんのこと、てっきり忘れてしまったのかと思ってた。」

「さあちゃんは、昔っから大事なことは絶対言わなかったでしょ。呑気だねぇ、お母さんたら。今でも写真持ってるって、そういう事だよ。大二郎くんがさあちゃんの事どれだけ好きかも、湊にはすごくよくわかったから、さあちゃんにメールしておくね。え……と、合宿はもうすぐ終わりだよね?」

「ええ。確か、明日が最終日じゃなかったかしら。」

「老後の面倒は湊が見るから、さあちゃんの恋愛は大きな心で見守るのよ、お母さん。」

「ええ……。え?ええーーっ、何?さあちゃんの恋愛って何~?どういうこと~。」

慌てふためく母を尻目に、湊は醍醐に目配せした。

「湊は、そういう感は働くのよね。大二郎くんって、結構一途なタイプよね。」

「湊さん。そんな所まで、親子は似るようでございますよ。誰かに命がけで惚れるのは、母親譲りのようです。では、そろそろお暇致します。」

醍醐が立ち上がると同時に、玄関で羽鳥の声がした。

「ちょうど迎えが来たようです。今日は伺えてよかった。又、しばらくはホテルで興行をしますから、お時間がありましたら皆様でお越しください。大二郎の話し相手になってやってください。」

「ええ。是非。湊も楽しみにしてます。」

いつかのように慇懃に腰を折って、柏木醍醐は帰途についた。

*****

深く車に身をうずめた醍醐の顔色は良くない。

「醍醐さん。どうしました?金剛さんの家で何かありましたか?」

「いや。むしろ何もなかったから、大二郎が可哀想だったよ……。羽鳥……。」

「はい?」

羽鳥は醍醐の異変に気付いて、慌てて車を停めた。色を失くして土気色になった醍醐は、口元を抑えて咳き込んだ。

「……おかしい。あ……頭が割れそうに痛い……羽鳥……。」

その場で飲んだ茶を吐き戻し、醍醐はどっと倒れ込んだ。

「醍醐さん!醍醐さん!?」

必死に名を呼ぶ羽鳥の腕の中で、醍醐の意識は深淵へと呑まれてゆく。醍醐が倒れたのをまだ知らない大二郎は、その頃ゆっくりと懐かしい道をたどっていた。
誰にも気づかれないように、いつものように、深く帽子をかぶっていた。

ふと見やった坂の三差路から、自転車が来るのが見えた。
ついさっき、湊に見せてもらった写真の中と同じ色のジャージに目が留まる。
まさか……とおもいながら、目が離せなくなる。
少しずつ近づいてきた自転車の少年の輪郭がはっきりしてくると、大二郎は思わず一歩足を進めた。大二郎の知る幼い禎克の面影が、わずかに感じられた。

「さあちゃん……?」

自転車の少年が、大二郎に気が付いたのか、笑顔で片手を上げる。
心臓が早鐘のように打つのを感じた。

(うっそ。おれのこと、覚えていてくれたの……?)

まさか……と思いながら、上気した大二郎が声を掛けようとしたとき、少年が声を発した。

「上谷先輩!」

「……え?」

「遅いぞ!金剛!道に迷ったかと思ったから、迎えに来た。」

「やだなぁ。地元だって言ったじゃないですか。どんだけ過保護ですか。」

大二郎の背後から近寄ってきた誰かに声を掛け、禎克はそこ大二郎には目もくれなかった。禎克の笑顔が、自分に向けられたないと知り、大二郎は上げかけた手を何事もなかったかのように握り込んだ。

いたたまれなさが這い上るのを抑えきれず、小走りで大二郎はその場を大急ぎで去った。
この町に来るべきじゃなかった。

「ばかみたいだ……おれ。」

一人ごちたその時、携帯のバイブが揺れた。

「羽鳥?珍しいな。」

「……おれだけど。」

「大二郎っ!今、どこだ!?」

尋常ではない声に、何かを感じた。

「ホテルの坂の下だよ。もうすぐ着くけど、何かあった?急ぎの仕事?」

「醍醐さんが倒れた。」

「え?」

中国のモバイルインターネットの発展は世界リード

 




人民網研究院と社会科学文献出版社は先ごろ、「モバイルインターネット青書:中国モバイルインターネット発展報告書(2017)」を共同跟團去歐洲発表した。統計データによると、中国モバイルアプリの市場規模は昨年12月現在で6050億元(1元は約16.69円)を上回っており、スマートフォンモバイル通信ネットワークとモバイルアプリ?サービスで、中国は世界の先頭集団のメンバーとなっている。科技日報が伝えた。

同青書によると、世界のモバイルインターネット市場は高度発展を遂げているとしている。iOSGoogle Play Storeの2016年世界人気アプリダウンロードランキングを見ると、中国と米国が開発したアプリが1、2位を占めており、両国が世界モバイルアプリ市場で主導的な地位を占めている。現段階において、中国はスマートフォンやモバイル通信ネットワーク、モバイルアプリ?サービスなどの分野で、世界日本旅行團トップレベルの発展を実現している。

10年以上の発展を経て、中国は先進国との情報技術の格差を縮小し、モバイルインターネットが最も強い分野となった。これは主に▽モバイル端末用チップ技術が大きく進歩し、世界の主流と肩を並べるようになった▽モバイルOS技術の革新的な発展により、一部の国産OSはiOSAndroidに続く普及率を記録している▽モバイル端末用センサー技術が急成長し、自主開発技術はマイク?カメラ?指紋認証という3大分野で初歩的に大きな競争力を付けている――という3点で明らかだ。

同青書は、5Gモバイルネットワークが「弱いAI」アプリ間の広範な連結を促進し、最終的に真の意北海道旅行團味での万物コネクト化を実現し、「強いAI」時代に邁進することになると予想した。

 

 

リンゴ栽培の起源、中国の新疆であることが明らかに

 



世界的に有名な学術誌「ネイチャー?コミュニケーションズ」は15日、「ゲノムリシーケンシングによるリンゴの起源?進化の歴史の解明、果実の大きさの2ステップ順化モデル」と題した記事の中で、山東農業大学の陳学森教授が實德率いる研究チームと、米コーネル大学の費章君氏の研究チームの共同研究の成果を発表し、世界のリンゴ栽培の起源が中国新疆であることを証明した。科技日報が伝えた。

リンゴは世界の温帯地域で最も広い面積で栽培されている果樹の一つで、その起源?進化は人類文明の進歩と切り離せない関係を持っている。2つの研究チームはハイスループットシーケンシング及び生實德物情報学技術を使い、アジア?欧州?米大陸など世界範囲の24種?117の遺伝質のフルゲノムリシーケンシングを行った。高質量の最小遺伝単位(SNPs)を720万個検査し、リンゴの資源研究と分子育種に大量の価値ある基礎データを提供した。

陳氏は記者に対して、「研究により、新疆の塞威士リンゴが高い相同性を維持しており、最も原始的な品種。同じく中央アジアカザフスタン国内の塞威士リンゴは、遺伝の純度が低い。これは世界のリンゴ栽培の起源が、中国新疆にある實德金融集團ことを十分に説明している」と話した。

 

言えばなこと


「お勝手口で泣いているんだ。あたしも慰めようがなくて、途方に暮れていたところさ」勝手口の外側で、従弟の直が膝を抱えて座り込み、丸くなっていた。
もう泣き疲れてしまったのか、赤い目をしていたが涙は止まっていたようだ。

「直、何しているの?」
「……まあちゃん……」
「そんなところに座っていたら、冷えておなかが痛くなるよ」

優しい従兄の姿を見て、直の涙腺蘇家興は再度緩んだ。

「まあちゃん。ぼくね、クレープ作ったの……」
「クレープ?直はそんなのが作れるのか。すごいな」
「……お……父さん……作っちゃダメだって……お誕生日おめでとうっていうつもりだったのに……」
直の足元には、一生懸命作ったらしいクレープの残骸があった。どうやら叔父は、皿ごと投げ捨てたらしい。

「捨てられちゃったの……」
「そっか。叔父さんは考え方が古風だもんな」

脳裏に傲岸不遜な叔父の顔が浮かぶ
ふと見れば、たくさんの蟻が集まって来ていた。

「きっと、これすごくおいしいんだね。蟻さんが大喜びだ。叔父さんも一口食べてみればよかったのに。そしたら、直がどんなにこれを上手に作ったかわかったのに」
「まあちゃん……ぼくね、すごく悲しかった……」
「うん。頑張って作ったのに、捨てるなんてひどいね。直は、叔父さんがおいしかったよって言ってくれるだけで良かったんだろ?」
「……ん……」

とうとう直の涙腺は決壊し、ぽろぽろと頬を伝った。小さな直が、どれだけ頑張ったか正樹にはよくわかる。
手にはいくつかやけどの跡があった。背の低い直の腕が、テーブルの上のホットプレートの縁に当たってしまったのだろう。
母の居ない直は、父をすごく慕っていたが、事業の忙しい父が息子を顧みることはほとんどなかった。祖母と家政婦に預けていれば、何事もなく育つと思っていたのかもしれない。
だが、この多感な少年は、いつも父の手を求めていた。
正樹は縋りついて泣く少年の、体温を感じながら頭を撫でてやった。
震える直の胸の痛みは、親と相いれない自分の痛みと同じものだ。

きっと直も自分と同じような生き方をするのだろうと、予感がした。自分に絵があるように、直にも好きなものを大切にして欲しいと、正樹は思った。
後悔をしない生き方は難しいけれど、それでも自分で選択した生き方をしていれば、立ちはだかっ蘇家興た困難にも勇気をもって立ち向かえる。それは自身が経験済みだった。
ちゃんと伝えても、直に理解できるかどうかわからないが、正樹は試みた。
フリッツが自分にそうするように、懐の心もとない存在を、ぎゅっと抱きしめた。

「直、あのね……」
「うん……」
「直は、そのままでいいんだよ。直はこれからも自由に生きるんだ」
「自由に?お父さんが駄目って言っても、お菓子作ってもいいってこと?」
「そうだよ。直の思った通りに生きていいんだ。誰が反対しても、僕はきっと直の応援をする。大きくなってどうすればいいか迷ったら、自分の心に聞いてみて。一番そうしたいって方を選ぶんだよ」
「……まあちゃんも?」
「僕もそうして生きてきたよ。例え誰かを傷つけるようになっても、自分を曲げちゃいけないときはきっとくる。直が自信をもって、真っ直ぐに生きていたらきっとみんないつかはわかってくれる。本当の直を好きになってくれる人が、絶対に現れる」
「本当のぼく?」
「そうだよ。僕にだって現れたんだから。直も好きなものを好きだと言っていいんだ。好きなものを好きって言える直を、きっと好きになってくれるよ」
「そうかなぁ……」

正樹の言うように、父がお菓子作りを簡単に許してくれるとは思えなかった。
直の心にその時、正樹の気持ちが響いたかとそれはわからない。ただ、その後、会うたび幾度となく繰り返された正樹の言葉は、いつしか直の内側に刻み込まれ生きてゆく指針となった。
好きなものを一途に好きでいる事は、簡単そうでいて、大人になるにつれ難しくなってゆくが、直は諦めなかった。
父の期待を裏切って、自分で見つけた道を、正樹と同じように歩いてゆく。やがて結果を出して認めさせるまでになるが、それはまた違う話で完結する。表門を出たところで、名前を呼ばれ振り返った。
祖母が手招きしているのに気づき、足を止める。別れの挨拶をしていな易經大師蘇家興かった。

「直はもう泣いていないよ、おばあちゃん。心配しなくても、結構芯は強いみたいだ」
「正樹と同じで、直も見た目があんな風だから弱々しく見えるけど、案外骨っぽいのかね。あたしが見る限り、あんたたちは、よく似ているよ」

すみま流は仕


「いや。女々しくなんかない。里流は強いよ。きっと俺なんかの数倍強いと思う。じゃ、後でな。」

自宅に入ろうとする彩が傍を離れると、体温が下がった気がした。

ふと振り返った彩が、里流の傍に駆け寄ると唇を掠めた。羽根でなぞったような、優しい小鳥のキス。

仕事中も思い出して、自分の唇にそっと触れてしまう里流だった。

*****

「片桐君。バイト時間なんだけど今日と明日、閉店まで延長できないかな?」

「明日は大丈夫です。嬉しいんですけど、今日はもう予定入れてしまったんで無理です。すみません。」

「そうか。じゃ、明日は閉店まで頼むな。」

「はい。」

声を掛けて来たフロアマネージャーは、里流の母の知り合いで、家庭の事情も良く知っている。
無理はするなよと、帰省した時には優SmarTone 上網先的に時間を割り振ってくれた。

「厨房にも慣れているし、片桐君は人当たりが良いから使いやすいんだ。酔っ払いにも優しいしね。」

微笑む里流は仕事で帰りの遅い母親に代わって、家事もこなしてきた。だから一通りの料理もできる。
調理師免許は無くても、厨房での調理補佐が出来るので、忙しい居酒屋で重宝されていた。

「大学を卒業したら、うちのチェーン店の店長候補にならないかい。君ならいつでも推薦してあげるよ。就職口としても、うちは結構、人気あるんだよ。」

「勧誘しちゃ駄目ですよ、店長。この子はガッコの先生になるんですからね。な?」

「なれればいいですけど……。がんばります。」

「何かさ、片桐君が頑張りますって言うと、応援したくなっちゃうよねぇ。不思議だね。殺伐としてた店内も、何となくほのぼの~穏やか~になっちゃうし。」

「ははっ……褒めても何も出ませんよ?生ビール行ってきます。」

生ジョッキを片手に4つずつ持ち、里流はホールに消えてゆく。背中を見ながら店長がしみじみと口にする。

「……ほんとに、いい子だね~」

「でしょ?母子家庭なんだけど、勉強も良く出来てね、大学も奨学金が出たから行く気になったらしいんだ。」

「うちのバカ息子とは比べ物にはならんな。」

「やっぱり頼れる親がいるといない數碼通んじゃ、違うんでしょうね。マネージャーの所はまだありがたみが分かってないだけですよ。」

やっと区切りをつけて、里事を終えた。
時計を見ると、すでに11時近い。

「もういないかも……あ……!」

視界に入った黒い影が、手を振った。

「彩さん。寒いところで待たせてせん、うまく注文が切れなくて。」

「いや。無理に誘ったのはこっちの方だからな。行こうか。」

先に立った彩を思わず追った里流だったが、どこへ行くのだと言うのだろう。
僅かな甘い期待と、立ち上る不安が交錯する。

「彩さん?あの、どこへ?話をするんだったら、こっちの方にもう開いている店は有りませんよ。ファストフード店なら駅前じゃないと……」

街燈の灯りで、彩の表情はよく見えた。
心なしか緊張しているように見える。
ややあって、彩は素面で昨夜と同じ言葉を口にした。

「ホテルへ行こう、里流。」

「……何言ってるんですか。いやです。理由が有りません。」

抗う里流の腕を、彩は強く掴んだ。目が光る。

「里流にはなくても、俺にはあるんだよ。」

「……いやですっ!」

里流は思わず手を振りほどき、駆けだした。
昨夜の別人數碼通のような彩がそこにいる気がした。

里流は悲しかった。
酒の上の事と、全てを忘れてしまおうと思ったのに、話を蒸し返して彩は何を考えているのだろう。

手繰と陸る網



静かに時は流れ、子宝にも恵まれた弟は、今も変わりなく美しい妻の寝姿に、海の宮の時間の流れと人の世の流れが違う事を、ふと思い出すのだ。
自分がこの世に生ある限り、這子はずっと側に共に居て海の潮で焼けた腕を求めてくれるだろう。
なんという天恵かと、腹の中でごちた。
いつしか白髪の混じった髪を、娘のようにしか見えない妻が、優しく手櫛で梳く。

「お大切なわたくしのあなた。間も無く兄上様がお迎えにいらっしゃいましたら、今度は這子と共に、海の宮にNeutrogena 細白晶透光能面膜機参りましょうねぇあなたはもう十分、人として長くお生きになりましたよ。」

「ねずっと、わたくしの側に居てくださいね。」

海面を魚の尾が、ぴしゃと叩く。
見慣れぬ赤銅色の珍しい鮫が、若い漁師のの周囲を、楽しげに何度も跳ねた。

「おう。叔父御、お達者か。」

鮫の腹には、小さな小判鮫がしかとかき付いて、餌を食む邪魔をしている。

相も変わらず、天児さまとお仲のよろしいことで。」

龍王の眷属は、人の世と魚の世を自在に行き来できた。
這子と弟の間に生まれた一粒種は、自在に海を行き来した。
下帯一つの身軽な格好で、漁師は小刀一つを口にくわえると、しなやかに深く潜って貝を取る。
魚の仲買も驚くほど、この漁師の船はいつも大漁で海神のご加護が有ると、もっぱらの噂だった。
突然、夜襲を受けて逃げ惑うしかできなかった、家中の人たちの霊がそこに眠る。


腹心の裏切りに、なす術もなくひたすら落ちるしかなかった若様。


うん?


納得できない違和感が、胸の中に持ち上がった。


ちょっと変だよ?


篠塚の当主は生き延びて、これまで代々続いているのが何よりの証拠だと思うんだけど


若様は自分は座敷で死んだって言わなかった?


奥方と落ち延びたはずの若様が、はぐれてしまったなんて話は聞いたことがなかった。

「真子。」


あたしを見つけて、若様が駆け寄ってきた。


きゅんきゅんしっぽを振るのが見える気がする。


やっぱり豆芝みたいで、可愛い。


ただ今日、光の中で薄く透けた若様は、なぜかとても心もとなく見えた。


「ここに、皆は居たのじゃな」


大きな石を見上げる若様は、懐かしそうにそういった。


「わたしは、本来ならここに皆と共に埋葬されるはずであったのじゃ。」


「どうしてそんな話をするの?」


「真子の顔に、聞きたいと書いておる。
違うのか?」


あたしは若様のほっぺたを、むにゅと両方から引っ張った。


そういう大人みたいな気は、使って欲しくなかった。


「行こう、若様。読経Neutrogena 細白晶透光能面膜機の時間よ。」

あたしは、若様の手を引いて本堂に連れて行った。


ママが小さな声で、文句を言った。


「遅いわよ。」


ご住職の後ろに皆神妙に並んで、読経を聞いた。


頭上を、涼やかな風が通る


まずいここで眠気がくるのは、いけないと自分でも思う。


余りに罰当たりよね


ふと、隣を見ると若様は先ほどよりももっと薄い姿になって、座布団の上で寝息を立てていた。


抱き上げようとしたら、手がすっと抜けてしまった。


「うそっ!」


若様に触れなくて、焦ったあたしは読経中だというのに、思わず声を出してしまいママににらまれた。


これって、若様一大事の予感。

結局の話。


後から分かったのだけど、どうやら、修行を重ねたご住職の読経には、ありがたくも浄化に絶大な効果が有るらしいのね。


霊体の若様は、徳を積んだご住職のお経に清められ、思わず思いも遂げないまま、うっかり「成仏」してしまいそうになったらしい。


その後、あたしは読経中だったけど、若様に声をかけて無理やりおばあちゃんの家に帰ってきた。



それは代々の住職だけが知る秘密事項になり、何百年もの間、篠塚の当主すら知らない秘め事だった。



火の中で亡くなった若様は、きっと亡くなった後、どうしていいのか判らなかったのだと思う。


親より先に亡くなった若様は、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかったのだと思う。


あたしは視えた映像を持て余しながら、お寺の青石のところにいた霊に会ってみようと思っていたのだけど、この状態じゃ宗ちゃんは役に立ちそうにない。



今のところ、あたしに見えるのはご先祖様の霊だけだから、もしかすると青石のところにいる人は若様につながる人なのかもしれなかった。


前向きな期待ばかりで、どうなるかわからなかったけど、とにかく若様が泣かなくて済むように、何とかしてあげたかった。
ご先祖様からしたら、おばあちゃんは直系だから、あたしよりも霊には親しみやすいかもしれないしね。

おばあちゃんはすぐ横で般若心経を唱えてくれていたけど、あたしの鼓動は隣に伝わりそうなくらい、大きく打っていたと思う。


霊媒体質の宗ちゃんと違って、あたしは霊が憑くという初めての経験に、すごく面Neutrogena 細白晶透光能面膜機食らっていた。


あたしであって、あたしじゃない感じ。

てくり袋を


「いや。もしくは、狙っているというべきなのか?何か、お婿さんになる話あったよね、日本昔話でさ。」」?実はな、おまえは稲田家から、本家の海鎚(みづち)の家に差し出される人身御供なんだ。」

「へ????ごくうって????ぼく、西遊記の猿なの。」

あ、顔色が変わったってことは、図星なのか?

「あほうっ!おまえは、どんだけ馬鹿なんだ???それは、孫悟空だろうがよ。」

?だったら、何だよ?ぼくに分かるように、きちんと説明してよ。」

親父は、お袋の方香港國際學校を向いてこんな馬鹿で、本家の方は本当に大丈夫なのかと、問うた。

?俺は、責任持てないぞ。他に代わりのものはいないんだぞ。」

「あら、何も知らないほうが初々しく見えるってこともあるでしょう?いっそ、あなた好みに染めてくださいってのも、有りだわ。」

あのー???ちょっと、よろしいですか。

夫婦の楽しげな会話に、口を挟むのもどうかと思うのですが???その台詞、どういう意味ですか?

二人は突然、黙り込んでしまった。

空気が不自然に、重いです。
ぼくには話が何も見えなくて、聞きなれない単語におたおたしてしまう。

とにかく。

学校には親戚で法事が有ると連絡し、部活の休みを貰って、明日からの春休みに本家に行くことになった。
そういえば、本家だとか分家だとか、知ってはいるけど余り深く聞いたことがなかった。
子供の頃に、木しか生えていない何もない田舎に行った記憶はあるんだけど、あれがそうだったのだろうか。

まあ、着替えは、スウェットとパーカーでいいかな。
本家に何があるのか???
それ以上考えるのをやめて、久しぶりの家族の小旅行に、ぼくの気分は甲醛すこしばかり浮かれていた。
今回は、大事な節目の祭礼だとかで、先祖供養もかねて神楽舞などの神事が、豪勢に行われるのだそうだ。

山陰の方に、本家は在るらしいのだけど、ぼくの家は事情があって大昔にこの地に流れてきたらしい。

その大人の?事情」辺りは、誰も教えてくれないんだけどね。
青ちゃんの家も親戚だから、末席に位置するのだという。

一緒にいくと聞いて、そこはちょっと心強かった。
だってさ、ど田舎なんだよ。
不便なのは我慢できるとしても、山ほどいそうだよね、ぼくの大嫌いな「長いもの」。

「あのさ。人身御供って、基本何をすればいいの?」

親父が席を外した隙に、母親に話を振ってみた。
ちゃんと辞書で引くべきだったと、後で思った。

『人間を神への生け贄(にえ)とすること。また、その人間』

そんなのぱぱっと検索すれば、すぐに分かったのに。

「クシ。行けばわかるわ。」

いつに無く、真剣な面持ちで母親は語った。

「これはね???おまえが、この世に生まれるずっと前から、決められていたことよ。」

?長い間、海鎚の家では、正当な依り代(ヨリシロ)が生まれてくるのを待っていたの。」

「よ???よりし????」

「巫女さんみたいなものよ。」

ぼくの脳内では、近くの神社の初詣でおみくじや、お守売っている巫女さんが浮かんでいた。

「そう。いつかきちんと話をするけれど、あんたには、早くに亡くなった双子の女浸大工商管理の子がいたって話、知っているでしょ?本当なら、その子が最適だったんだけど。」

「う~ん???そういえば昔話をしていたような???。」